憲法判例百選Ⅱ393頁「日本の裁判官は,最高裁事務総局を中心とする官僚的統制に服してきた。」

 寺西事件についての解説です。
 この最高裁決定は,裁判官も一市民として表現の自由を有することは「当然である」としています。
 そして,解説者は,寺西事件が,そのことが問題となった現在のところ唯一の事例であるからといって,戦後の日本において裁判官の市民的自由が保障されてきたわけではなく,それは,日本の裁判官は,最高裁事務総局を中心とする官僚的統制に服してきたからであるとしています。
 また,その後の判例変更(国公法二事件最高裁判決)を受けて,現在においても寺西事件の判断が維持されるか否か,その検証がなされるためには,第二の寺西裁判官の登場を待たなければならないとされています。

憲法判例百選Ⅱ(第6版)393頁(有斐閣