孤立無援 たった一人で国会と戦っている裁判官

某弁護士の先生が、弁護士ドットコムのサイトに次のような投稿をされました

 

「岡口裁判官のツイート事件を岡口裁判官の表現の自由の問題だと捉える人は多いけれども、司法権独立との関係で捉える人はほとんどいません。
問題点を列記しておきます。
1 憲法は法曹一元を要請しているが、現実には、戦前の官僚裁判官制度が継続している。
2 下級裁判所裁判官の任期制と官僚裁判官制度という木に竹を接いだ制度のため、裁判官の身分保障は、ほぼ空文になっている。
3 大審院から、新たに最高裁を頂点とする裁判所組織が発足したとき、司法権独立運動を担っていた裁判官は事実上追い出され、戦犯と言うべき裁判官は公職追放もされずに残った。
4 旧司法省の官僚は、最高裁事務局に引き継がれ、勢力を維持した。その象徴が、司法省の人事課長から最高裁の人事係長(後の人事課長)を経て、最高裁長官になった石田和外氏である。
5 官僚は、司法官僚を含め、新憲法下の国民に対する奉仕者意識ではなく、戦前からの天皇の官僚意識を引き継いでいる。最高裁長官や事務総長等が大嘗祭に参列することが象徴的。
6 司法官僚は、行政官僚と異なり、旧時代の遺物である特別権力関係に服させられている。
7 日本全体が、司法権独立(裁判官の独立)の重要性に無関心で、憲法学者ですら、あまり関心がないように見える。韓国の大法院が元徴用工に新日鉄住金に対する損害賠償請求権を認めたことについて、日本政府が韓国政府を批判し、マスコミが同調している現状が象徴的。明治時代の児島惟謙大審院長ほどの見識もない。
8 国会の裁判官訴追委員会が岡口裁判官の事件を調査すること自体が司法権の独立を侵害するものだという認識が日本のどこにもない。

岡口裁判官事件は、裁判官個人の問題ではなく、日本の司法権の問題であり、それに対し、岡口裁判官がほとんど孤立無援で闘っていると、私には思えます。」