岡口判事の職務停止決定。
— 田丁木寸 (@matimura) 2021年8月12日
裁判官弾劾法39条の要件解釈適用の実例だが、その理由が示されなければ、相当性をどのような意味に解釈し、岡口判事がその要件にどうして該当するのか明らかとならず、しかも不服申立ての余地も異議の余地もない。
これでは暗黒裁判そのものだ。https://t.co/s3yhbH6Y0G
なんと、驚いた。
この弾劾裁判所の手続の恐ろしいところは、一切の不服申立の余地がないことだ。
今までの裁判官弾劾裁判の事例というのは、少なくとも私が物心ついてからは、異論の余地なくトンデモ裁判官を追放するものだったし、不服申立ての必要性を考えることもなかった。微妙だったのは、贈賄された谷合克行判事補のケースで、しかしまあ結論的には罷免しかないと納得の事例だ。
それらは、裁判官の行動に萎縮効果があるからといって危惧する必要はなく、むしろそういうことしそうになったらどんどん萎縮しろといって問題ないケース(収賄、被告人に交際迫る、児童買春、ストーカー、盗撮など)ばかりだった。
これに対して裁判官の言動が問題となった今回のケースは別だ。
そして職務執行停止決定については、普通は当該裁判官の弾劾事由の有無に関する結論が出る前にする仮の措置であって、そのまま当該裁判官に職務を続けさせたら回復困難な損害が生じるという場合に発動されるもののはずだ。
訴追されたら自動的に発動されるべきものではない。
世の中には、従業員が逮捕起訴されたら休職という起訴休職制度をとっているところが多く、そのようなものという理解もあるかもしれないが、それは他の機関(裁判所)の判断待ちで自分では白黒判断できないからであり、白黒つける裁判機関が、その判断を先取りするようなことは本来すべきでない。
もちろん企業内や行政庁内での懲戒処分に先立って、処分が決まるまで職務担当から外すということはあり得る。それ自体、追って沙汰するまで謹慎せよみたいな、江戸時代的な匂いを感じるが、処分権者が処分する過程なのだから、結論ありきの処遇を最終判断前にすることもあるかもしれない。
要するに、今までのケースでは、事案も結論もあまりにも明らかなものばかりだったので、手続的な公正さは問題視されなかったが、賛否の分かれる事例が出てきて、初めて、手続的公正さにも目がいくようになったのである。
岡口さん個人には気の毒な事態の推移だが、制度論を進める上では貴重な事例でもある。