友利昴さんのツイートです。最高裁に告ぐ感想

 

リブロの野上由人さんが「最高裁に告ぐ」を取り上げてくれました

「著者は有名な裁判官である。なぜ有名か。ひとつはTwitterへの投稿が「問題視」され、裁判所から「厳重注意」や「戒告」処分を受けて注目を集めた。もうひとつは法律実務書のヒット作『要件事実マニュアル』の著者で、法曹界に読者が多い。

 この度、ほぼ同時に2冊を上梓した。「戒告」処分を受けるに至った「分限裁判」を題材に司法の現実を綴る『最高裁に告ぐ』と、裁判官教育制度の変質を嘆き、その問題点を指摘する本書である。」

 

https://news.headlines.auone.jp/stories/showbiz/news/12381008?genreid=3&subgenreid=7&articleid=12381008&cpid=10130043

 

 

弁護士しんしんさんの読後感想です 最高裁に告ぐ

 

 

裁判官が世間に情報発信することを押さえつけようとする裁判所当局の組織論理。

 

最高裁判所が岡口さんを戒告処分とした分限裁判の手続の杜撰さと判断の脆弱さ。

 

さらには、近年、最高裁判所が裁判実務に精通していない裁判官達で構成される傾向が強まっていること。

 

近年の最高裁判決には、説得的な理由や判断基準が示されず、国民の権利が脅かされかねないこと(侵害されていること)。

 

本書は、このような現状に対し、痛烈な警告を発しています。

 

ameblo.jp

見平典京都大学准教授が,岡口分限決定について,詳細な分析をしています。

@論究ジュリスト29号115頁(JSPS科学研究費,京都大学ジョン万プログラ
ムの研究成果を含むものだそうです)

まず,最高裁が,重要な論点について判断をしなかったことを批判されています。
「本件は,私生活における裁判官の表現の自由市民的自由の限界という重要な論点
を伴っていたが,本決定においては,ほとんど論じられなかった。

また,最高裁は,「本件ツイートを読んだ国民は,裁判官が,表面的かつ一方的な情
報や理解にのみ基づいて予断をもって判断するのではないかという疑念を抱く」と判
示しましたが,
「国民が,たとえ岡口裁判官の私生活におけるツイッター上の投稿態度に接したとし
ても,このような疑念を抱くものなのか疑問が残る」とされています。

また,「え?あなた・・?」の行の意味についても,
「被申立人が主張するように,犬の訴訟の被告の言い分を要約したものと理解する者
の方が多いのではないかと思われる。」とされています。

もっとも,本件は,裁判官訴追委員会の訴追の対象にもなっており,
過去の訴追の例に比較して軽微な本件が訴追や訴追委員会の聴取の先例となること
は,司法の独立への含意も大きく,訴追制度の濫用の余地を生むことから,最高裁
本件について早期に幕引きを図る必要性を感じても不思議ではない」と,本件分限決
定が政治的配慮からされた可能性を指摘されています。

そして,結論として,本件ツイートは,「品位を辱める行状とまではいえない」とさ
れています。戒告処分とした最高裁の判断は間違っているというご意見であり,重判
における山元教授に続いて,学者から反対意見が出たということになります。

さらに,裁判所当局が,裁判官に対し,「薄氷を踏むような思いを以て,私生活の端
に至るまで一切の行動を慎み,いかなる点においても世の疑惑を招くことないよう心
掛けねばならない」(石田和外・裁判所時報536号1頁)ことを求めているのに対
しても,裁判官を委縮させるものにすぎず,むしろ,裁判官の自由な市民活動・表現
活動を認めるべきであるとしています。そして,その理由として,以下の点を挙げら
れています。
1 裁判官による司法や社会の問題に関する表現活動は,社会的な討議をより豊かな
ものとする。
2 裁判官の社会参加活動は,人間や社会に対する裁判官の理解を促すことで,裁判
の質の向上にも寄与する。
3 裁判官との実際のコミュニケーションに裏打ちされた信頼の促進は,イメージ依
存ではない,より厚みのある司法に対する信頼を築く。
4 裁判官の表現活動は,法や司法の動向に対する国民の関心を喚起することによっ
て,司法の国民的基盤を形成することにつながる。
 *「最高裁に告ぐ」においても,同様の指摘をしていたところです。

岡口分限決定は,今や日本中の司法試験受験生が熟読する決定となっていますが,以
上のような指摘も踏まえて読まれると面白いと思います。

各地の書店でも好評のようです 最高裁に告ぐ

 

 

 

千葉直愛弁護士のツイートです