本秀紀名古屋大教授(憲法)のご意見です

「仙台高裁の岡口基一裁判官が、SNSの投稿を理由に、国会の弾劾裁判所に訴追されました。裁判官は、その職権を独立して行使するために手厚い身分保障があって、一般職の公務員のように懲戒免職されることはなく、唯一やめさせることができるのは、国権の最高機関(憲法41条)たる国会に設置された弾劾裁判所のみです。
この制度が憲法の想定通りに機能するには、弾劾裁判が適切に行われることが必要不可欠で、弾劾裁判所を構成する国会議員(衆参7名ずつ)が、気に入らない裁判官をクビにするために「裁判」を行うようなことがあれば、裁判官の独立を保障するための制度によって裁判官の独立が脅かされるという背理が生じます。
全国の憲法研究者の学会である全国憲法研究会(そのままやないか〜い!)は、時々の憲法問題について市民の皆さんと問題共有するべく「憲法問題特別委員会」を設置しています(私もその一員)。この弾劾問題は一般にはあまり注目されていませんが、それだけに憲法の専門家である私たちが取り上げなければ!と、準備中だった企画を急遽変更して、今回のシンポジウムを開催することにしました。
裁判官の弾劾ってそもそもどんな制度なの?という人も、今回の事例はいったい何が問題なの?という人も、とりあえずご参加いただき、私たちの問題提起に耳を傾けていただければと思います。報告者もコメンテーターも一流の憲法学者で、自信を持ってお勧めできます(ちょっと贅沢すぎるかな、という感じ)。
オンラインで参加費無料、事前申し込みが必要です。よろしくお願いいたします。
公開シンポ「裁判官の弾劾と表現の自由
2021年9月18日(土)13:30-17:00@オンライン
柳瀬 昇(日大教授)「制度としての裁判官の弾劾」
市川正人(立命館大教授)「裁判官の表現の自由」」

 

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