雑誌「世界」12月号
「岡口裁判官への弾劾訴追は妥当か」木村草太教授
「本件訴追事由を理由とする罷免は過剰だ。
第1判決(性犯罪に関するもの)の関連行為は,「感情を傷つけた」ことはそもそも罷免事由になり得ず,「侮辱」も罷免相当とは言い難い。
第2判決(犬の所有権に関するもの)の関連行為は,岡口氏の文章を誤読したものである上,その誤読を前提としても罷免事由にはならない。
にもかかわらず,罷免判決を出せば,それが前提となり,罷免のハードルは下がり「感情を傷つけた」という曖昧すぎる基準での罷免を許すことにもなる。それが裁判官の独立や裁判官の職務に及ぼす危険は明白であり,弾劾裁判所は粛々と不罷免の結論を出すべきである。」