分限裁判の記録 岡口基一

分限裁判の記録です。研究者の方向け

最高裁判所に提出予定の「主張書面」です(その3)

第3 審問期日の指定について
1 本件は,平成30年9月11日火曜日に,審問期日の指定がされていますが,そのことについても,一言述べさせていただきたいと思います。
2(1) 裁判所法49条では,「裁判官は,職務上の義務に違反し,若しくは職務を怠り,又は品位を辱める行状があったときは,別に法律で定めるところにより裁判によって懲戒される。」と,複数の懲戒事由が規定されています。
 また,裁判官分限法7条によると,懲戒の裁判をするには,その原因たる事実及び証拠によりこれを認めた理由を示さなければならないとされています。
(2) これらの規定によると,懲戒の申立てにおいては,その原因たる事実及びそれを立証する資料を明らかにした上で,当該事実が,裁判所法49条の定める懲戒事由のうちのどの事由に当たるのかを明らかにしなければならないというべきです。
3 ところが,本件申立書は,私が本件ツイートをした行為が「裁判所法49条所定の懲戒事由に該当する」としか記載されておらず,それを立証する資料の存在も明らかにされていませんから,私の行為のうちのどの部分が,同条所定のどの事由に当たると主張するのかが全く明らかでありません。
 このような懲戒申立書では,被申立人が申立書の送達を受けても,認否反論のしようがありませんから,被申立人に申立書を送達する前に,申立人に対し,補正を促し,又は,補正命令を発することで,被申立人が認否や反論ができる程度にまで,申立ての内容を明確にさせるべきです。
4(1) ところで,私は,普段の職務において,請求の内容が不明な訴状が提出された場合,その訴状を直ちに被告に送達することはせずに,原告に対し,任意の補正を促し,又は補正命令を発することで,請求の内容を明らかにさせ,それがある程度明らかになれば被告に訴状を送達し,補正等によっても明らかにならなければ訴状を却下するという訴訟指揮を,長い間続けてきました。
(2) 他方で,請求の内容が不明確であっても,口頭弁論期日において釈明すればいいなどと考えて,そのまま被告に訴状を送達してしまう裁判官もいらっしゃいます。
5 私が,請求の内容が不明確なままの訴状を直ちに被告に送達しない理由は,訴状を送達された被告が被る事実上の不利益が大変に大きいからです。
 裁判官の中には,請求の内容があきらかでない訴状であれば,被告は勝訴するであろうから,被告には不利益がないと考える方もいらっしゃるのかもしれません。しかし,被告は,最終的に勝訴することになるとはいっても,誰かから訴状を送られたというだけで大変な精神的負担を受けます。
 また,訴状の送達を受ければ,第1回口頭弁論期日に出頭しなければなりませんから,被告は,その日の仕事を休むか,そうでなければ,30万円程度の着手金を支払って弁護士に訴訟委任をする必要があります。
 このように,被告とされた者には,精神的にも経済的にも多大なる負担が生じますが,とりわけ精神的な負担は大変に大きいものです。しかしながら,裁判官の中は,そういう被告の不利益を想像することができずに,請求内容が不明確な訴状をそのまま被告に送達してしまう方もいらっしゃるのです。
6 本件申立書を読んでも,本件ツイートのうちのどの部分が,裁判所法49条所定のどの懲戒事由に該当するのか全くわかりません。
私が,本件申立書の画像をインターネットに掲載したところ,多数のアクセスがありました(16日間で30万アクセスを超えています。)が,複数の方から,申立ての内容が抽象的すぎて,どのような懲戒事由に当たるのかわからないという意見をいただきました。
 このような内容の申立てのまま,私が指定された審問期日に出頭しても,防御のしようがありませんから,私が審問期日に出頭する意味があるとは思えません。
 そこで,私は,平成30年9月11日午後1時30分と指定された本件の審問期日には出頭しないことに致します。
なお,審問期日に出頭しない旨の書面は,別途作成して提出いたします。
                                 以   上