市川正人立命館大学教授が「岡口分限決定」
@民商法雑誌155巻4号804頁
以下,内容を要約してみます。
1 「品位を辱める行状」の意義について
岡口分限決定は,裁判官の懲戒事由である「品位を辱める行状」
る私的行為を含めて,「裁判官に対する国民の信頼を損ねる言動」
を疑わせる言動」のことをいうと判断しました。
しかし,これらの概念は,
説によると,この判断は,「
りる品位を兼備しなければならない」という,学者(上村千一郎)
ものであるとのことですが,「人格的にも」
これでは裁判官は,
れないことになりますが,裁判官イメージは人によって様々ですし,ネット時代
では,
目立たぬように息を殺して生きていくしかなくなります。
およそ裁判は浮世のもめ事を裁くものであるのに,
した浮世のことが理解できるのでしょうか。
市民感覚を有した,
には,裁判官の懲戒処分は,
2 本件への当てはめについて
岡口分限決定は,本件ツイート(犬のツイート)について,「
訟提起を不当と考えていること」
ますが,これは疑問です。
しょうか。すでに多くの学者が同様の指摘をしています(
准教授,山元一教授,渡辺康行教授等)。
また,岡口分限決定は,「本件ツイート」について,「
揶揄するものともとれるその表現ぶり」に着目しています。「
もかく,「揶揄するものともとれる表現」
ば,
さらに,宮崎裕子判事らの補足意見は,本件ツイートが「
ない,つまり,
このように,本件ツイートが「品位を辱める行状」
当な無理があると言わざるを得ません。
3 その他の問題
(1) 岡口分限決定は,
分の憲法21条1項適合性の論証がないに等しいといわざるを得ま
て憲法的な思考がどのように働くのかが全く可視化されていないの
これでは,裁判官の中で「物言えば唇寒し」
(2)また,岡口分限決定は,
事補事件の際には,
本件ではそれが全く不十分でした。最高裁1審限りの判断で,
機会もなかったにもかかわらずです。
(3)
認める岡口分限決定は,結果的に,
の対象にもなるという先例を作ってしまいました。
裁判所に対する政治的な関与,